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ボートなどをレーダー画像上で識別する「安全用途レーダートランスポンダー」が加えられている。
1.2.2 レーダービーコンについて
航路標識用レーダービーコンは既に多くの台数が実用化されており・レーコン(RACON)とも呼ばれている。方式としては、レーダーアンテナの数回転毎にレーダー映像上に海図に記載されているモールス符号を間歇的に表示する「低速度周波数掃引型レーコン」が多い。
このレーコンは、相手方レーダーの受信周波数に関係なく送信周波数を60〜150秒の周期で掃引しており、レーダー送信波を受信した時にモールス符号で断続する応答波を送信する方式を採っている。このレーコンの応答波を受信するための現用レーダーの改造は不要であるが、緩やかに変化している応答波の周波数が必ずしもレーダー受信器の周波数に一致しないので、レーダー映像は時々しか表示されない事になる。
1.2.3 レーダートランスポンダーについて
IMOによるレーダーを相手方とする装置の基本的分類では、レーダービーコンは航路標識用途だけの呼称で、レーダートランスポンダーに関しては識別などの「情報伝送」を行う装置として広い用途を対象にしている。
情報伝送用トランスポンダーとして我々の身近にあるものに航空機搭載のトランスポンダーがあり、速度の速い航空機の安全を計るため航空機側で「識別機番」と「気圧」を送信し、航空路や空港周辺の管制用レーダー側で情報を処理して、レーダー映像上に識別機番、高度、速度をデジタル表示して陸上にある管制官を支援している。
しかし、電波の速度で距離を計るレーダー装置が取り扱う時間はマイクロ秒単位であり一般的情報伝送で取り扱うミリ秒単位より格段に速い時間であるため、航空管制用と同等の高度で複雑な手段を採らない限りレーダー映像上に多くの情報を直接表示する事は難しく、技術の現状と経済的な面でもレーコンのモールス符号表示が限界である。IMOの最近の動向としては、航行安全の確保のために「船番識別」や「操舵情報」の伝送なども取り上げられており、今後の開発と実用化の動向を見守りたい。
次項で解説する捜索救助用レーダートランスポンダーは、海事用途のレーダートランス

 

 

 

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